センターの紹介
ガイダンス・コンサルテーション
ガイダンス・コンサルテーション
東大病院臨床研究推進センターでは、臨床研究を志す研究者を対象に、計画立案から倫理審査まで、ガイダンスやコンサルテーションを通じて支援しています(図1)。
我が国では、医学生や初期臨床研修医に与えられる臨床研究に関する教育の機会は十分とは言えない状況であり、医師の臨床研究に関する知識や経験値は、研究者によって大きく異なります。臨床研究推進センターでは、初めて臨床研究を計画する医師から、個々のレベルに合わせた助言や書類作成支援を行い、臨床研究の実施を数と質の両面から推進するとともに、侵襲性および介入性を有する臨床研究の倫理申請にあたっては、事前にコンサルテーションを受けることを必須化することによって、倫理審査時に研究実施可能性や倫理性等が一定の基準を満たすことを担保しています。また、臨床研究ガバナンス部が主導する薬事戦略と中心としたTR戦略相談とも連携を強化し、多様化するニーズに応えていく努力を続けています。
ガイダンスでは、広く観察研究から介入研究まで、研究計画の立案段階において、実施可能性を踏まえて、研究計画の骨子(目的、対象、選択除外基準、検査項目、評価項目、統計手法等)に関して対面助言を行います。また、必要に応じて研究実施体制(モニタリング、データ管理、監査、安全性評価等)について整備を開始します。研究者は、ガイダンスで得た情報を参考に、研究組織の構成メンバーを募り、より具体的な研究実施計画を練り上げていきます。なお、他の医療機関を主施設とする多施設共同研究で既に主施設で倫理審査委員会が承認している場合等は、直接コンサルテーションを受けることを可能としています(図1)。
コンサルテーションでは、侵襲性および介入性を有する臨床研究について、研究者が準備した研究実施計画書や説明文書・同意文書等を基に、研究デザイン、統計手法、研究実施体制等について、倫理審査委員会への申請を意識した詳細な対面助言を行います。コンサルテーションでは、助教相当以上の医師(研究責任医師または研究分担医師)に出席をお願いしています(主たる書類作成者が大学院生や特任臨床医等である場合は,助教相当以上の者とともに出席してください)。研究計画や必要書類の完成度に応じて、再度コンサルテーションを行うことがありますので予めご了承ください。コンサルテーション後、コンサルテーション部門担当者を中心とした各部門担当者は、研究者とともに倫理審査委員会提出書類を完成させていきます。
ガイダンス・コンサルテーション申込み方法
番号 | 項目 |
---|---|
1 | ガイダンス・コンサルテーション参加予定者 |
2 | 希望日程 例:毎週月曜日13〜17時 |
3 | 研究課題名(案) |
4 | 背景、管領する先行研究の概要(基礎薬理毒性など) |
5 | 仮説と目的 |
6 | P:Patient(対象者) 例:高血圧患者を対象として |
7 | I/E:Intervention(E:Exposure)(介入または暴露) 例:降圧剤Aを内服した群は |
8 | C:Comparison(比較対象) 例:降圧剤Bを内服した群と比較して |
9 | O:Outcome(予想される結果) 例:脳梗塞の発症率が減少する |
10 | 侵襲性・介入性の有無 |
11 | 研究の型(二重盲検化ランダム化試験など) |
12 | 研究組織(単施設・他施設) |
13 | 研究資金源 |
14 | 試験薬・試験機器の有効性や安全性に関する情報(適応内使用・適応外使用) |
15 | 薬事承認を目指しているか(臨床研究ガバナンス部TR戦略相談案件になります) |
16 | 臨床研究保険加入予定の有無 |
17 | その他具体的な質問や問題点など |
ガイダンス・コンサルテーションのお申し込みは、必要事項をエクセルファイルに記載して、clinical-research-consult@umin.ac.jp(TR戦略相談/ガイダンス・コンサルテーション受付窓口)へメールでお申し込みください(図2)。不明または未定の項目は空欄で構いません。また、必要に応じて資料を添付して下さい。ガイダンス・コンサルテーションは、お申し込み頂いてから約1~2週間を目安に実施しています。コンサルテーションから、倫理委員会事務局への書類提出に必要な期間は、ガイダンスをすでに実施している場合は約2週間、ガイダンスを実施していない場合は約4週間を標準としていますので、時間的余裕を持ってお申し込みください(図1)。倫理委員会申請までの手順の詳細および必要書類は、治験以外の介入を伴う臨床研究実施に関する手順書(URL********)をご参照ください。必要書類は(URL********)からダウンロードしてご利用頂くことができます。
介入研究は、計画から実施に至るまで様々な専門知識が求められるため、様々な専門職による支援が不可欠です。東大病院臨床研究推進センターの特徴の一つであるコンサルテーション部門が主導するガイダンスおよびコンサルテーションは、研究者の要望や相談事項に対して、専門性に基づいて建設的に意見交換するだけにとどまらず、研究倫理や臨床研究に関する法令等の教育の場でもあります。臨床研究の経験の浅い診療科では、コンセプト段段階で倫理申請まで至っていない素晴らしい臨床研究の種が少なからず存在しますが、計画から実施体制構築まで包括的に支援することで、社会へ還元することができる質の高い研究を実現できるよう支援していきたいと考えています。さらに将来的には、上述の臨床研究推進体制に関する取り組みの輪を、他施設への支援にも広げて行きたいと考えています。