臨床研究中核病院
臨床研究の一元管理体制
治験以外の介入を伴う臨床研究の一元管理体制について
2015年4月に施行された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」で、研究機関の長と研究責任医師の責務が明確化されました。その中で、研究機関の長は、適正な研究の実施に関する包括的な監督義務、守秘義務および被験者の人権尊重の徹底等を果たすべく、適正な研究実施に必要な体制の整備に努めることが求められています。また、研究責任者の責務として、倫理的妥当性および科学的合理性を確保した研究計画立案、研究進捗管理、有害事象報告、健康被害に対する補償等が明記されました。

東大病院では、上記の新指針に則って、病院長を頂点とした治験以外の介入を伴う臨床研究の実施体制を「一元管理体制」として整備しました。一元管理体制は、病院長がすべての治験以外の介入を伴う臨床研究を把握するとともに、不適当な研究については、研究中止の権限を持ちます。これらの病院長の権限を臨床研究推進センターが代行します。一元管理体制とは、診療科および研究者と連携するシステムです(上図)。
一元管理体制の一つとして、病院長が治験以外の介入を伴う臨床研究の進捗等を迅速に把握することを可能とするため、各診療科に臨床研究指導員を配備しました。臨床研究指導員は、臨床研究推進センターの教育研修部門員を兼務し、診療科で行われている研究の適正な実施について調査・監督し、診療科で実施中の治験以外の介入を伴う臨床研究の進捗や実施体制について透明性を高め、被験者の安全性や研究の信頼性を確保しています。

また、特定の研究については、臨床研究推進センターが進捗管理を行い、確実な研究遂行を支援しています(上図)。特に、医師主導治験、先進医療、あるいはガイドライン改訂を目指す検証的な治験以外の介入を伴う臨床研究については、臨床研究推進センターの中央管理ユニットが中心となって、それぞれの専門性を発揮し、フルサポートを行っています。その他、発展性が期待される探索的な治験以外の介入を伴う臨床研究は、モニタリング部門・データ管理部門が中心となって、研究毎に専属のQuality Control担当者を任命し、研究開始前に具体的なモニタリング方法、症例報告書やデータベースの作成、データ管理手法について助言を行います。研究開始後に研究の品質に影響を及ぼすような問題点が生じた場合には、経験豊富な専門スタッフと対応策を協議しています。
臨床研究推進センターでは、これらの活動を通じて、支援する全ての治験以外の介入を伴う臨床研究に関する情報を迅速かつ正確に把握し、適切に管理するとともに、病院長との緊密な連携と定期および臨時報告を行う一元管理体制を整え、臨床研究推進センターが関わる全ての治験以外の介入を伴う臨床研究の被験者の方々に、安心して研究にご参加いただけるようなシステム作りに取り組んでいます。